関連病院ではたらく
髙橋 知一 先生北海道大学 2022年(令和4年)卒業
医師3年目、小児科医1年目の未熟者です。北大医学部在学中に「これからの未来を担う子供を助ける小児科って良いな」と思い、小児科を志望しました。北大に入局した理由として大きいのは、大学生の頃から小児科のイベントなどに時々参加させていただいていたという点と、入局に際して「小児科専門医を取った後に児童精神科医として勉強したいので一度北海道を離れても良いですか?」と、だいぶ直球過ぎる質問をさせていただきましたところ即座にご快諾いただけたという点が決め手でした。入局前に「専門医取ったら北海道離れます!」と宣言するなんて失礼だろうとかなり迷いましたが「あなたの夢を応援します!」と言っていただけた、そういう雰囲気の医局である、というのはとてもありがたかったです。将来は北海道に戻ってきて児童精神科医として北大の関連病院で働きたいなと思っています。
初期研修医から天使病院で勤務を継続しており、勤務も3年目になります。初期研修医として勤務していたという背景もありますが、非常に働きやすい病院だと思っています。小児科の特色としては肥厚性幽門狭窄症などの外科疾患の周術期管理や重症心身障害児の呼吸障害などの管理を担う点、NICU科でも外科疾患、遺伝性疾患等を診ることができる点が挙げられます。全く未知の領域であり、疾患特性や管理について戸惑うことも多いのですが、上級医の先生のバックアップも非常に手厚く相談も非常にしやすいため安心感は大きいです。ルート確保できず上級医に依頼したことも何回もありますが快く引き受けていただいております(精進する所存です)。
個人的な話で恐縮ですが私には2歳の子供がおります。専攻医は忙しいと思わるかもしれませんが育児をする時間が全くないということは一切なく、受け持ち患者の状態次第ではありますが基本的には定時に帰宅することが可能です。そのため子供の入浴は私の役目として家庭でも存在感を失わずに済んでおります(パパヤダと言われるのはきっと幻聴です)。夏休み、休暇なども十分取得することができ、今年も祖母にひ孫を見せることが出来ました。非常に働きやすい環境であると思います。
正直に言って、私自身は北大小児科のことはまだまだ全然分かっていないと思っています。学生時代に少し大学病院の雰囲気を感じたのと天使病院での小児科・NICU科での経験しかありません。医師としても3年目で若輩者であります。しかしそんな私でもはっきりと実感しているのは「頑張っていると誰かが助けてくれる」そんな素敵な雰囲気がある医局だということです。理由は、同期入局の先生方とも話した際に、それぞれの関連病院に勤務されている中で「大変だけども充実している」というのが共通認識だったためです。勿論、研修医を卒業した以上ある程度は自力でこなす、できないなら勉強するという姿勢は必須ではありますが、誰かが助けてくれる環境、これはひとえに各施設の上級医の先生方と大学の医局の先生方がこれまでご尽力してくださったおかげだと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。「頑張っていると誰かが助けてくれる」そんな素敵な北大小児科で一緒に働けたら嬉しいです。そして私が困ったときに何卒お助けくだされば幸いです。
瀬越 尚人 先生北海道大学 2019年(平成31年)卒業
小児科医として3年目を迎えます。私が北海道大学小児科に入局したのは、専門に偏ることなく、子どもに関することなら何でも診られるようになりたいと思ったからです。卒業後は地域の中核病院で研修を続けていますが、各病院の指導医の先生方から手厚いご指導をいただいています。稀な症例については大学の先生方と密に相談し、地方であっても最善の治療が行えるようバックアップしていただいています。北海道という広大なフィールドの中で、北大小児科には「どんな地域でも適切な医療を提供する」という伝統的な仕組みがあると感じています。
当院は、救命救急センター(ICU)と総合周産期母子医療センター(NICU)どちらも併設しており、救急・新生児管理を学ぶことができます。ICU、NICUともに、重症患者の場合、短時間で決断し、正確に手技を行うこと、治療方針や経過をいかにご両親に伝えるか、など様々なことを思い悩み、迷うこともありますが、子どもたちが元気に退院していく姿は何事にも代えがたい喜びがあります。そのほか、神経発達症や染色体異常、先天性心疾患などの基礎疾患を持つ患者さんが多く入院していることも当院の特徴です。このような子どもたちの場合、発熱や嘔吐、痙攣などの一般的な訴えに対しても、慎重に鑑別をあげていく必要があります。こうした思考過程を何度も確認することが、最良の学びの場だと感じています。また、医療的ケア児に接することも多くあります。医学的な正解がその子たちにとっては必ずしも当てはまらない状況もあり、ご両親と意思決定をすることを大切にしなければ、と診療に当たるようにしています。もっとも自分自身未熟で道半ばですが、これらのように、当院だからこそ学べることがたくさんあるのでは、と日々感じています。
仕事だけでなく、プライベートの話も少し。十勝・帯広は、地元の方だけでなく移住者の方も多く、皆さんどこか地元愛に溢れている印象があります。食べ物、モール温泉、雄大な自然など、北海道の中でも特に魅力的な観光地ではないでしょうか。仕事はハードワークですが、オンオフのメリハリがあり、たまの休みの日には十勝ライフを満喫しています!
北海道大学小児科研修の大きな特徴は、幅広い疾患を偏りなく経験できることと、各病院に良い指導医がいることだと思っています。私自身、目標となるような先生方にたくさん恵まれました。先生方のように裾野の広いスペシャリストになれるよう、北海道大学小児科で一緒に勉強しましょう!
松元 献 先生旭川医科大学 2014年(平成26年)卒業
私は、旭川医科大学を卒業後、臨床研修から小児科の専攻医研修後もしばらくは医局に所属することなく、市中病院で勤務していましたが、専攻医の頃からサブスペシャリティは新生児領域に進みたいと考えており、出身地である北海道で新生児医療をしたかったので、卒後9年目から北大小児科医局に所属させていただきました。
市立札幌病院は小児科と新生児内科がありますが、私は小児科専攻医研修を終えてから入局したため、現在は、市立札幌病院のNICU/GCUで新生児内科の専従として勤務しています。
市立札幌病院は、NICU15床、GCU21床を有し、札幌市内では特に超低出生体重児の診療に力を入れています。新生児領域の忙しさを表す格言(?)に、「超低出生体重児が生まれたら三日間は家に帰れない」というものがありますが、当院では、夜間や休日は当直の先生にお願いすることができ、勤務のオンオフは非常にはっきりしています。また、当直中に困った時、応援が必要になった時は、気軽に上司に相談することができますし、自分の担当以外のお子さんについても互いに把握しているため、一つのチームとして診療を行っているという結束感の強い職場です。
卒業後からずっと市中病院で勤務してきたことに加え、小児科医としては決して「ストレート」ではない私は、医局に入ることに対して漠然とした不安もありましたが、医局の先生方は温かく受け入れてくださり、各専門領域の先生方にもメールや電話で気軽に相談することができ、丁寧なアドバイスをいただきながら日々診療を行なっています。また、北大小児科医局には、様々な経歴をもった先生方が在籍されていることを知り、多種多様な経験を撚り合わせて子ども達の診療にあたる環境で診療ができることを誇りに思っています。
市中病院で臨床研修をした先生、あるいは臨床研修を考えている学生の方で、専攻医研修にあたって入局という選択肢を迷っている方はぜひご相談ください。みなさんと一緒に、子ども達の健康と未来を守る仕事ができることを願っております。
戸澤 雄介 先生北海道大学 2007年(平成19年)卒業
北大を卒業し、初期研修を釧路赤十字病院で2年間行った後、小児科医を目指す時に、新生児医療や小児科各領域をバランス良く研修できるカリキュラムがある北大小児科を選びました。出身大学というのもありますが、北大小児科の関連病院は全道を幅広くカバーしており、専門領域研究グループの幅広さから迷う事はありませんでした。入会後道内各地で1-2年くらいずつ研修し、北大大学院に入学し免疫班に所属しました。学生時代から、免疫学は難解でついつい敬遠してしまう分野でしたが、後期研修で様々な指導医の先生方との出会いと、難治ながらも治療に導くことができた免疫不全症患者さんとの出会いなど、様々な要素が重なって、免疫を専攻する事にしました。
北大免疫班での日々は目まぐるしく過ぎて行きました。はじめは班内の議論の内容が全く分からず途方にくれましたが、諸先生方のご指導のおかげで理解を深める事が出来ました。専門書の執筆や、国内の診療ガイドライン策定にも関わる事ができ、いつもそれらの情報を利用する側だったのが、どのような考えで専門書やガイドラインは書かれるのかという編集過程を体験できたのは有意義でした。研究(実験)は結果が出ずに苦しい時期もありましたが、新しい知見を発見した時の高揚感も感じることができました。論文をまとめ、学位も取得でき、2020年に大学院を卒業した後に、釧路赤十字病院に転勤する事になりました。
釧路日赤は釧根地区の小児医療拠点病院です。総合周産期母子医療センターの認定も受けており、管内の早産児や高度治療を要する新生児なども集まります。小児科医は9名でスタッフと専攻医はほぼ半々です。私は臨床業務として、毎日の午前一般外来と水曜日午後の免疫外来を担当しています。釧路地区は優秀で経験豊富な開業医の先生方に支えられており、当院の一般外来を受診する患者さんは極端に多くは無いのですが、受診する時は相応の理由を抱えて来院されるため気は抜けません。一般感染症、健診からの紹介、肌荒れ、アトピーなどの皮膚の相談が多いです。食物アレルギー、起立性調節障害などの心身症、不登校の受診も比較的多く、これらの場合は一般外来ではどうしても時間がかかるため、問診票などを活用して効率よく診療出来ないか思案しています。免疫外来は、周期性発熱、膠原病、アレルギー疾患のフォローが主です。膠原病では昨年も近医と当院整形外科からJIAの患者さんをご紹介頂きました。大学で培った専門知識を活かして、これからも地域での専門医療に貢献していきたいと思っています。また、一般外来患者のフォローアップも必要で、週一日の再診枠では足りず、他の日も空いた時間を調整して診ています。
小児科は伝統的に屋根瓦方式の教育体制を取っており、若手専攻医を2,3年目の専攻医が指導し、さらにスタッフが指導するという形です。ほぼ毎日カンファレンスで、情報や問題点の共有や治療方針の検討を行い、専攻医が不安なく診療できるような体制を取っています。また、重症な患児が入院した際には科内一丸となって診療に当たる事もあります。
個人的な懸念として、大学院では免疫疾患の診療に専門分化していたため、例えば超低出生体重児等の対応などはしばらく遠ざかっており、赴任に際して不安がありましたが、当院の新生児が専門の先生に配慮頂き、重症新生児が出生する際には適時サポートを頂いており、不安なく日々の診療に取り組めています。
釧路は北海道のほぼ東端にあります。世界三大夕日の一つと謳われる釧路の夕日は幣舞橋から眺める事をお勧めしますが、勤務の合間に見える夕日も色鮮やかで壮大です。夕日を眺めていると、思い煩っている事の小ささに気づき、前向きになれる気がします。また、世界自然遺産に認定されている釧路湿原も人気があります。大自然の中、カヌーを楽しむこともできます。温泉がお好きという方は、1時間以内で行ける阿寒湖温泉があり、他にも中標津や川湯など目移りするほどたくさんの温泉があります。また、本州(埼玉)出身として強調したいのは、夏でも冷涼な気候です。最高気温が25℃を超えるのは1-2週間程度(この文章を書いている2021年はいつになく暑いですが)で、夜はしっかり20度以下に下がります。40℃近くの炎天下に茹だる他地域のニュースを見るたびに、釧路で良かったと再認識します。冬はもちろん寒いのですが、意外と降雪量が少なく、雪掻きに奮闘するのは年にわずかしかありません。釧路はまた、日本のロンドンとも形容される霧の街です。街並みがわずかな間に霧に包まれる様子は幻想的です。釧路空港もたびたび霧に包まれて交通障害が発生するのが玉に瑕ですが…。総じて釧路の気候は気に入っています。
釧路は味覚の宝庫でもあります。豊富な海の幸が釧路港から水揚げされ、四季折々の海産物が楽しめます。サンマは、焼いてもおいしいですが、鮮度を活かして刺身にしてもおいしいです。カキで有名な厚岸も車で1時間くらいで行けます。
広大な北海道において、小児科医はまだまだ足りません。興味をお持ちの先生がいらっしゃいましたら是非ご参加頂ければ幸いです。