9/4 集談会(日下隆先生)のご案内
第169回 特別集談会
2023年9月4日(木) 18:00-
Webex(詳細はこちら)
香川大学 小児科学講座 教授
日下 隆 先生
『新生児の酸素とビリルビン代謝の特異性』
新生児期に生理的黄疸が確認されている哺乳類はアカゲザルとヒトのみであり、ヒトの一生において黄疸が生理的であるのは新生児期のみである。新生児黄疸を来すその生理的要因としては、1)短い赤血球の寿命、2)低い肝臓ビリルビン抱合能、3)ビリルビンの腸肝循環の存在、が考慮される。特に新生児期早期は、肝ビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素活性が正期産の出生時で成人活性の1/100であり、生後に活性上昇する事が重要である。これらの要因によるビリルビン上昇の生理的意味は、胎盤血流に依存した胎児期の低い酸素濃度が出生後の肺呼吸のため急激に上昇し、同時に体内に活性酸素が上昇するためその消去の役割を担い、活性酸素に脆弱な新生児を守っていると推測される。よって新生児に対する日常診療では、酸素の過剰投与を防止すると同時に、高ビリルビン血症の防止に関しては低値のビリルビン値による弊害も考慮した対応が必要で、特に酸素毒性に脆弱な早産児では、この事実を考慮した対応が重要であると考えられる。